デベロッパーズ サミット2005

上記に参加してきたので、レポートしてみたい。
■ 詳細

Developers Summit 2005
日時 2005/02/03(木)~04(金)
会場 青山ダイヤモンドホール
主催 株式会社 翔泳社
詳細 Developers Summit 2005

■ はじめに
デベロッパーズ サミットの開催期間には丁度、寒気団が日本上空に来ていた。
北陸地方は、今年一番の大雪で、出発前日の午前中には羽田行きが飛ばなかったこともあり、無事会場に行けるかどうかが先ず心配だった。
当日の朝は、五時半に自宅を出発した。道には新雪が積もり、ちょっと油断するとすぐスタックしてしまう。
高速道路もすっかり凍っている。凸凹の路をゆっくりと走った。
それでも小松空港には随分早くついた。INETAJ のイベントに一緒に出る杉下さんも、たまたま飛行機が同じで、同じ頃に空港にいらした。
心配した飛行機は定刻通りに出発し、定刻通りに羽田に到着。予定通りに会場につくことができた。ほっと一安心。
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さて会場に入ると、すごい人の行列。
二日間会場の青山ダイヤモンドホールは大変な人で、歩くのに苦労した。
デベロッパーズ サミットには、最初の年から毎年参加しているが、参加するたびに良くなっている。
特に今回は、楽しみなセッションが盛り沢山で、選ぶのに迷うほどだった。
ただ、昨年も感じたことだが、あの Web からの申し込みのユーザー インタフェイスはちょっと「いけてない」気がする。
あれは本当にユーザーの方を向いた UI と言えるのだろうか。
ユーザー側の関心事に対してではなく、主催者側の関心事に対して UI が設計されているように感じた。

  • 主催者側の関心事 : 各セッションに何人の人が参加しようとしているのか。どういう人が参加しようとしているのか。
  • ユーザー側の関心事: 自分がどのセッションを何時受けるか。申し込み/変更/キャンセルの方法。

今回の参加者、即ちデベロッパーにとっては、ユーザーの視点・ユーザーの関心事に合わせるのがデフォルトだから、多分違和感有りまくり。
でもまあ、その他の面では大満足。とっても良いイベントだった。
デベロッパーが中心というのが実に良い感じ。
このイベントのサブタイトルに「デベロッパーの復権」というのがある。
この趣旨には大賛成。
日本のデベロッパーも、もっと楽しく自信に満ちて物作りをして良い。
■ 参加内容
○ XP事例カタログ
大熊 知栄 氏、猪狩 錦光 氏、関 将俊 氏、小倉 唯克 氏
四年の歴史を誇る XPJUG (日本 XP ユーザグループ) で紹介されてきた XP プロジェクトの中から三つの例が紹介された。
すごい人で立ち見がでている。
大熊 さんの司会に始まり、三人の発表者が順に XP 事例の紹介を行った。
関 さん の発表は、XP 祭り 2004 で 関 さん が発表された内容「三年目の報告」(サブタイトル「XPが良いか悪いかなんて話は もうしないよ。」) だが、マイナー バージョンアップしていて「その後」が少し語られた。題して「3.5年目の報告」。「忍者式テスト」など、独自に XP をカスタマイズされている。
二人目の方はゲーム業界での XP。単純作業などのときに使う「ペアプロ解除」というプラクティスが興味深かった。
お二人とも開発者として、XP をやっていく中で現実的な解をいくつも見つけている。
また、回顧をよくやっていて、次にフィードバックしている。
今回特に良かったのは、顧客側からの XP プロジェクトの発表があったことだ。
以前見たことのあるバーンダウン チャートが顧客側視点で語られた。
これは結構目から鱗で、視点が変わると随分違って見えるものだと思った。
○ 失敗から学ぶプロジェクトマネジメント
伊藤 健太郎 氏
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XP だけでなく、プロジェクト マネジメントについても学ぶ必要があるだろう、ということでこのセッションを聴きにいった。

  • プロジェクトの失敗原因は? → プロジェクト マネジメントの進化のさせ方

という内容のセッション。
プロジェクトの失敗原因で、

  • プロジェクトを KKD (勘と経験と度胸) で実施

というのが印象的だった。
ソフトウェア開発の場合、QCD (Quality: 品質・Cost: コスト・Delivery: 納期) のマネジメントだけでは、中々プロジェクトの成功に結び付かない、とよく言われているようだが、プロジェクト マネジメントも進化しているようだ。
講演中、プロジェクト マネジメントによるプロジェクト成功のための様々なキーワードが使われたが、「いけてる」と思ったものを私の独断であげてみる。

  • いけてるキーワード:

    • コミュニケーション
    • モチベーション
    • キャリアパス
    • ナレッジ マネジメント
    • メンタリング

ところで、はじめの方で「是非このセッションが思い出に残るように」とのことで、「プロジェクトの失敗について隣の人と話してみよう」という時間があった。
アイス ブレーキングなんだろうが、これはちょっといけてない。余りにも唐突で中途半端な感じ。
○ .NETでアジャイル ペアプロ ライブ! ~VB.NETはテスト ファーストで行こう!
中西 庸文 氏、福井 厚 氏
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「ドットネッターでアジャイラーで TDDer (謎)」になるための方法について。
最近は、Java の開発者に比べてアジャイルに馴染みが薄い .NET の開発者の人たちにもアジャイルな開発を知ってもらいたいという趣旨の講演や記事が(ようや)く増えてきたようだ。
嬉しい限りだ。
さてこのセッションだが、なんと終始関西弁。
ペア プレゼンになっていて、会話形式で説明が進められていく。
圧巻は途中二回の「ペアプロ笑劇場」と題したペアプロ ライブ。
若手アジャイラーとアジャイル未経験なベテラン先輩開発者という設定で、テスト ファーストなペアプロを行う。
で、このペアプロが TDD で且つ TDD (謎) なのだ。
前者の TDD は、勿論テスト駆動開発 (Test Driven Development) のこと。アジャイルではお馴染みの手法だ。
後者の TDD (謎) は、ツッコミ駆動開発 (Tsukkomi Driven Development)。
テンポの良いボケとツッコミによって、開発が進められていった。このテンポは関西弁ならではかも。
※ ちなみにツッコミ駆動開発にもペアプロは必須。
※ 一人でぶつぶつとボケとツッコミをしながらプログラミングされるのはかなり嫌だ。
面白いのは、ペアプロなので、ドライバー役 (キーボードでプログラムを書く方: リアルタイム コード レビューア) とパートナー役 (ドライバーのコーディングを見ていてリアルタイムにフィードバックを行う) があるのだが、パートナーがボケてドライバーがツッコんでいたりする。
二回目の「ペアプロ笑劇場」では、Mock (擬似オブジェクト) によるテストも紹介され、技術的にも興味深かった。
このセッションを聴き終わって考えたこと:
これは私の経験則だが、アジャイルな人というのはアジャイルな講演をする。
見ていて感動が有る。
プレゼンテーションが濃いのだ。

薄いセッション → 濃いセッション → もっと濃いセッション
パワーポイントに文章を書いておいて、それを読みながら解説 → 実際にやってみせる → 参加者に体験してもらう
言葉で説明する → 図や写真で説明する → 寸劇で表現・動かして説明
抽象的な新しいアイディアを述べる → 具体的な例を交えて新しいアイディアを述べる → 新しいアイディアを試してもらう

コミュニケーションの帯域が違うのだ。時間当たりに伝わる情報量が違う。
これは、沢山話して言葉数を増やす、ということではない。沢山のパワーポイントを用意する、ということでもない。
発信側でなく受信側の情報量を増やすのだ。
新しいアイディアというものは、いくら言葉数を増やしたって伝わらないものは伝わらない。
見せる工夫、伝える工夫をしなければ。
私はこれを Broadband Communication と呼びたい。
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仕事でも多分同じだ。
例えば、

  • 「プロジェクトの失敗の主な要因はコミュニケーション エラー」

という問題提起があるとする。先のプロジェクト マネジメントのセッションでもこれはあげられていた。
でそれに対する解。プロジェクト マネジメントのセッションでは、

  • 「コミュニケーションは『お仕事』なんだからしっかりやらなくちゃ」

ということだった。
でも「プロジェクトの失敗の主な要因はコミュニケーション エラー」という問題提起に対して、しっかりやるべきなのは自明であって、それだけでは不十分なのだ。
そこには「見える化」など実践するための工夫がなければならない。アジャイルな人たちはそこが上手だと思う。
○ INETA Japan Presents VB.NET vs C# 『.NET 言語合戦』
河端 善博 氏、東海林 秀晃 氏、小野 修司 氏、石野 光仁 氏、菊池 和彦 氏、小島 富治雄 氏、福王寺 聡明 氏、杉下 朋年 氏、中西 庸文 氏、片岡 真二 氏、樋口 忠洋 氏、Hollytown 氏
Visual Studio .NET 2003 になってからは、VB.NET と C# はそれほど使い勝手に違いがなくなりつつある。2005 では更に優劣がなくなる。
その中で、VB.NET と C# のそれぞれの長所をあげて、双方の使いどころについて考えてみよう、という趣旨のイベント。
別にどっちを使っている方が偉いかを競う訳ではない。
INETA Japanは、.NET のコミュニティのコミュニティだ。
私は、パネラーの一人として参加。C# 側。
ライブで VB.NET と C# のそれぞれで七並べの戦略部分をプログラミングし、その場で対決した。
お客さんは勝つと思う方に投票し、勝負の結果により、アマゾン ギフト券や PSP などが当たる。全員に参加賞もあたる。
パネル ディスカッションは、どうやら C# 側が劣勢な(まま)終わってしまった。折角 C# 側のパネル リーダーの小野 さん が頑張ってくれてたのに。残念。
C# を応援してくれてた参加者の方はさぞやきもきしたことだろう。
というか、VB.NET 側のパネル リーダーの杉下 さん のプレゼンが良過ぎた。
反対にプログラミング ライブの結果の七並べの対戦では、C# 側が終始優勢だった。
商品の効果かも知れないが、全体としては結構ほんわかと盛り上がっていたようで、コミュニティ色が出ていて良かったのではないだろうか。
○ My Framework作成の勧め:アプリケーションを30個作る時に何を用意するか
arton 氏
或る業務に関して、沢山アプリケーションを書くのであれば、その業務に特化した良いマイ フレームワークを自分で書いた方が良い、というお話とその作り方のお話。
arton さん のお話は、理論的で且つとても判り易い。

  • フレームワークって何のことだったのか。
  • 作ると何がうれしいのか。
  • 良いフレームワークってどういうものか。
  • そして .NET 上で作る方法は。

arton さん の独特の語り口は、とても説得力がある。
フレームワークの作り方の話は特に技術的に興味深かった。
パラメータ、プッシュ モデル (Tell) /プル モデル (Ask)、依存性注入 (Dependency Injection) などの実際の実装方法を、C# のソースをデバッグ実行しながらデモで見せてくれた。
リフレクションで仮引数名で検索してみせたり、実行時にコンパイラを呼び出してパラメータを評価させたり、自作の DI コンテナを使って依存性注入を実際にやってみせたり、ととても楽しめた。
※ ちなみに、このソース コードは公開されている。
○ フレームワークの効能と、.NET導入事例紹介
三部 雅法 氏
.NET Framework 上でのフレームワークの紹介とその導入事例の紹介。
自社製フレームワークの説明という感じ。
○ セッション参加者のパーティー (懇親会)
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一日目の夜は会場でパーティーがあった。
デベロッパーズ サミットの場合は、他のイベントと比較して広い分野から参加者が集まっている。
で、層としては技術者が中心。
なんか縦割りでなく横割な感じで新鮮だった。
例えば、ドットネッターとアジャイラーは日頃それ程イベントでかぶらない。
今回はあちこちでドットネッターとアジャイラーが名刺交換する風景が見られた。
私も、多彩な人とお話ができて実に楽しかった。
○ 二次会
懇親会を途中で抜け出して、ドットネットな方々 (INETAJ・MVP) と原宿辺りで二次会。
○ その他
二日目の午前中は、INETAJ のリーダーズ ミーティングに参加した。
マイクロソフト 新宿オフィス。
その後 INETAJ の方々と食事会。
■ 人とのつながり
今回も多くの方々と話すことができた。
イベント参加の一番の収穫。

  • 今回デブサミで初めて直接ご挨拶できた方々 (50音順):
    小野 さん、菊池 さん、国広 さん、関 さん、田中 さん、原 さん、樋口 さん…
  • デブサミで再会できた方々 (50音順):
    arton さん、天野 さん、石野 さん、市川 さん、岩切さん、牛尾 さん、大熊 さん、太田 さん、小野 さん、沖田 さん、角谷 さん、懸田 さん、片岡 さん、河端 さん、倉貫 さん、小井土 さん、児玉 さん、佐藤 さん、渋木 さん、東海林 さん、杉下 さん、中西 さん、平澤 さん、平鍋 さん、福井 さん、福王寺 さん、松本 さん、水越 さん、堀田 さん、安井 さん、吉原 さん、和田 さん…
  • 同じデブサミ会場にいらしたのに再会できなかった方々 (50音順):
    北野 さん、本間 さん、森屋 さん、和田 さん…

※ お会いしたのにお名前のもれてる方、すみません。ご指摘頂けると幸いです。
■ 関連リンク: