指導者三倍段
最近、人に何かを教えることが多い。
これが中々難しい。例えば、C++言語の研修で、ポインタの概念がどうしても判らない人にそれを教えたり、クラスが理解できない人にクラスについて教えたり。
自分で使いこなせてるつもりの技術でも他人にそれを教えるのは難しい、ということをつくづく感じる。
ここで、私が私の師匠 (誰) から教わった言葉をひとつ。
自分で使うのに比べて他人に使い方を教えるのは、三倍の理解が必要だ (当社比)。
つまり、自分が使える、という段階より、他人にそれが教えられる、という段階の方が大分知識の習得レベルが高いわけだ。
指導する側には指導される側に対して、段位にして三倍ないと教えられない、ということ。それが『指導者三倍段』だ。
# ちなみに、大山倍達が言っていたのは『剣道三倍段』 (謎)。
参考までに、様々な技術習得の段階についてあげてみる。
■ ソフトウェア技術習得のレベル分類
- 段階 1 : 無知の段階 ― その技術について聞いたこともない
- 段階 2 : 気がかりな段階 ― その技術について文献を読んだことがある
- 段階 3 : 見習いの段階 ― その技術について三日間のセミナーに通った
- 段階 4 : 実践しようとする段階 ― その技術を実際のプロジェクトに適用しようとしている
- 段階 5 : 職人の段階 ― その技術を仕事の上で自然に自動的に使っている
- 段階 6 : 名人の段階 ― その技術を完全に消化していて、いつルールを破るべきかを知っている
- 段階 7 : エキスパート ― 専門書を著作し、講演し、その技術を拡張する方法を探究する
■ 「守・破・離」
人や本などから何かを学び、ひとり立ちしていくまでに、『守』・『破』・『離』という段階を進んでいくと言われている。
- 「守」: 最初は教わった型を守り、型の通りにやる
- 「破」:教わった型通りでなく、自分なりに変化させていく
- 「離」:最後には型を離れて独自のやり方を作り出し、行う
■ 「識らない」の順位
- 1 : 無知の欠如 ― 何かについて識っていて、それを使うことが出来る
- 2 : 知識の欠如 ― 何かについて識らないが、識らないことを識別している
- 3 : 認識の欠如 ― 何について識らないかを識らない
- 4 : プロセスの欠如 ― 何について識らないかを識らない、ということをどう解消したら良いかを識らない
- 5 : メタな無知 ― 「識らない」とはどういうことか識らない
■ ソフトウェア職人の称号
ディスカッション
コメント一覧
大山倍逹の剣道三倍段は、なつかしくて思わずグッときました。(謎)
私は昔から「十持っていて一教えられる法則」というのを持論にしていました。おそらくFujiwoさんと同じことを考えていたのだと思います。
福井 さん、こんにちは。
「十持っていて一教えられる法則」。同感です。
逆に人に教えられるところまでくれば、その知識が自分のものになった、と感じます。
人に教えられるところまで来ていないうちは、謙虚にその技術を学ぶべきだと思います。
物事を理解していなければ、その楽しさを伝えることができない。
当たり前といえば当たり前なのだが、大事よ。自分で使うのに比べて他人に使い方を教えるのは、三倍の理解が必要だ (当社比)。 つまり、自分が使える、という段階より、…
翔ソフトウェア (Sho’s) Fujiwo の日記
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