UFO は存在せず

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最近、以下のニュースが話題になっているようだ。

* 「UFO は存在せず 英国防省が結論

今朝テレビを観ていると、フジテレビの番組「とくダネ!」のオープニング トークでこの話題を取り上げていた。
こんな調子だった。

小倉智昭 さん:
「英国防省が UFO が存在しないという調査結果を出した」
「この広い宇宙にはすごい数の星がある。地球外生物が存在しない、なんてことはないだろう」
「夢がない」
笠井信輔 アナウンサー:
「『UFO が存在する証拠がない』から UFO が存在しないというなら、『UFO が存在しない』証拠を出せってんだ!」
小倉智昭 さん:
「俺が言ってるんじゃないんだ。文句があったら英国防省に言ってくれ」

実はこの番組は、私の大好きな番組だ。小倉智昭 さん のオープニング トークも好きで楽しみに観ている。
しかし今朝のこの話には、なんというか、あきれた。この論理展開は、まさに「トンデモさ爆発」だと思う。
ステレオタイプな見方で申し訳ないが、何故マスコミって科学的なものの見方・考え方がこんなに下手なんだろう。
ツッコんでいくと:

* 「UFO は存在せず 英国防省が結論」

そんなわけないだろう。UFO の不存在証明なんか科学的にやれるわけがない。不可能なことは明白だし、「UFO は存在せず」なんて調査報告書が存在したとしたら、その調査報告書が眉唾であることは私にだって分かる。そんな調査報告書を英国防省が出すはずがないし、出していない。
英国防省の報告は「調査した限りでは空飛ぶ円盤が存在する証拠はなかった」ということであって、「UFO は存在せず」とじゃ全く意味が違う。「UFO は存在せず」なんて空飛ぶ円盤懐疑派の人ですら殆ど誰も言っていない筈だ。まあ、大槻義彦教授だったら言うかも知れないが。
「UFO は存在しているだろう。だが、『空飛ぶ円盤』と言われるものが存在しているかは不明だ。今のところ、存在している証拠はないようだ」というのが、科学的なものの見方であって、英国防省の報告もこの範疇のものだ。それに対して、「UFO は存在せず」と言うことは、めちゃめちゃ非科学的な態度だ。

* 「地球外生物が存在しない、なんてことはないだろう」

ましてや、「地球外生物が存在しない」なんて、誰が言っているんだ。そんなこと。
「地球外生物の不存在証明」なんて不可能に決まっている。大体、今回の英国防省の報告書の結論とは全然別の主張だ。

* 「『UFO が存在する証拠がない』から UFO が存在しないというなら、『UFO が存在しない』証拠を出せってんだ!」

こういうのを「悪魔の証明」という。「悪魔は存在する。存在しないという主張は間違いだ。存在しないというなら、その証拠を提示せよ」というやつだ。こんな論理を使って良いのであれば、どんな無茶なものの存在だって主張できる。
存在の証明を求めるのは「非論理的・非科学的な態度」だ。当然のことながら、存在を主張する側に証明責任がある。

* 「俺が言ってるんじゃないんだ。文句があったら英国防省に言ってくれ」

子供でも分かるような「間違ったニュースの見出し」を元におかしな論理展開を行うのが良くない、と思う。
「UFO は存在せず」なんてマスコミしか主張していないことに対して反論したあげく、「科学というのは夢がない」とか言わないで欲しい。
宇宙や地球外生物に興味を持った人が、夢を持ち、宇宙に憧れ、宇宙について「知りたい」という強い思いから、実際に「知ろう」としている。それが科学的な態度だ。宇宙や地球外生物にそれほど興味がなく、「知ろう」ともしていない人が、「科学者は夢がない」と言うのを聞くと、なんだかなあ、と思う。
頼むから UFO について全国的にコメントするのであれば、少しくらいは「知ろう」としてから発言してほしい。