敷居が高い
コミュニティなどで見かける「敷居が高い」という言葉の誤用が、最近気になる。
「あそこのコミュニティは初心者にとって敷居が高い」
のような文をよく目にする。
この表現は間違いだ。
「敷居が高い」は「水準が高くて手を出しづらい」という意味ではない。
「不義理などをしたために、心にやましい所があって顔を出しづらい」という意味だ。
この誤用は多い。結構頻繁に目にする。
例えば、Google で「敷居が高い」を検索してみると、上位20件のうちの19件が誤用。
# 残りの1件は、 goo 辞書。
検索された誤用例:
- 産婦人科って敷居が高い?
- 敷居が高い ― ネット上のコミュニティに参加した時に、何となく感じる事があるもの。
- コストや導入期間といったことが原因で、大企業以外の企業にとって“ERPそのものの敷居が高い”
- ユーザーには敷居が高いサービスになってしまっているようだ。
- 輸入時計は敷居が高いと思っていませんか?
- メーリングリストは敷居が高い?
- ジャズは敷居が高い。
よく、
「誤用、誤用というが、言葉は生き物だ。変化していくものだ。多くの人に使われていけばいずれ誤用でなくなるかも知れないんだ」
のようなことをいう人がいる。
そりゃそうだ。
私も、誤用をすべてなくすべき、とは考えていない。例えば、「ら抜き言葉」なんかは、今、正しい日本語になっていく過渡期なのかも知れない。そうした言葉の変化も文化のうちだと思う。
だが、「敷居が高い」の誤用は、明らかに「ハードルが高い」と意味を勘違いしたものだ。
「よく判らない言葉を背伸びして無理に使って、勝手に間違えた」みたいな格好悪いのを認めるのはどうなんだろう。
日本語にそんな格好悪い表現が増えていくのは、私は嫌だ。
同じような例として、以下に「混交表現」をあげてみる:
- 嫌が応にも
- 熱にうなされているようだ
- 足元をすくわれた
- 思いもつかないことだ
- 口を濁した
- 念頭に入れなければならない
- 腹をくくった
- 絆を深めた
- 雪辱を晴らした
- 腹が煮えくりかえる思いだ
- 寸暇を惜しまずに働いた
- 彼の悪事が明るみになった
- 白羽の矢を射止める
- 昔日の感がある
- 社長の胸先三寸だ
- 口先三寸
- 戦いの火蓋が切って落とされた
- 物議を呼んだ
- 法外の幸せだ
- 期待倒れだった
- 怒り心頭に達っした
- 燃えたぎる思い
- ケンケンガクガクの議論
- 体調を壊してしまった
- 愛想を振りまいた
これらは全部間違った表現だ。
似たような言葉と間違えて使っているもので、「格好悪い誤用」の例だと思う。
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